• 18 Oct 2008 /  プロデュース

    プロツールスが入って一番変ったのが、
    音を視覚化して作業できるようになったことです。

    私がディレクターになりたてのころに
    こんなことがありました。

    ミックスを終えて、マスタリングに行ったときのことです。
    実は私、このミックスがあまり気に入っていませんでした。
    声のバランスがオケに対してちいさくて、
    あのもうすこし、声が前に出ていたらいいのにと、
    内心不満に思っていたミックスだったからです。

    ミックスダウンという作業は、エンジニアとアシスタントエンジニアを雇って、
    1時間3万円くらいのスタジオをレンタルして
    最低でも1曲6時間はかけてするので、
    再度スタジオを借りてミックスしなおすわけには
    簡単にはいかない。

    ところがスタジオにいって、驚きました。
    マスタリングのエンジニアさんが私にこう聞いたからです。
    「声、ちょっとちいさくないですか。なんなら、上げときましょうか」

    嬉しい申し出なので、
    是非にといって、ボーカルを上げてもらいました。
    それで一件落着。
    私の不満が一挙に解消したのです。

    ちょっと説明しておきます。
    レコーディングには三種類の
    エンジニアさんが関わります。

    まず、レコーディングを仕切り、
    サウンドの最終的な責任者であるミキサーと呼ばれる
    エンジニアさん。

    この人とプロデューサーは夫婦のような関係です。
    ひとつのプロジェクトが立ち上がると、
    終わるまでずっと一緒のことが多いのです。

    個人的にも連絡を密に取り、
    どちらかが結婚するということになれば、
    お世話するような関係になることが多いです。

    レコーディングの時、マイク位置の調整から配線、
    テープレコーダーやコンピュータを操って実際の作業を手伝う、
    アシスタントエンジニア。

    これはスタジオの提供によります。
    スタジオ料の一部としてその労働が請求され、
    ほとんどの場合、エンジニアさんが指名することが多いです。

    ただ、レコーディングの目的によって
    スタジオが変ればアシスタントは変り、
    その都度その都度のキャスティングになります。

    最後にマスタリングエンジニア。
    これは、CDやレコードを焼く基本となるフォーマットを
    作ってくれるエンジニアで、作品の最終形に仕上げる仕事になります。

    ビクターやコロンビアなど老舗のレコード会社には
    専門のマスタリングエンジニアがいますが、
    通常は外部のマスタリングの専門家を雇うことが多く、
    プロデューサーたちは、
    ひとつの作品に一回だけ顔をあわせる存在となります。

    このとき、マスタリングエンジニアが使ったのがEQ。
    出来上がった作品の声の帯域周辺の音量をあげたのですね。
    こんなことができる機材があったのかと、
    本当に本当に驚いたものです。

    プロツールスが出来るまでは、このEQをいじるという作業は、
    耳で聞いて調整するので、専門職として成立し、
    プロデューサーがどうのこうのいうようなレベルの話ではありませんでした。

    わからない領域だったのです。
    ところがプロツールスが出来ると、
    その中にEQというのがソフトで入っていて、
    誰でも触れるようになりました。

    低いところをカットしたり、高いところをより大きくしたりが
    目で見てどれくらい上げたのか
    下げたのかわかるようになったのです。

    これによって、一般の人でも、
    ボリュームをいじる感覚で
    各帯域をいじれるようになったというわけです。

    次回は、プロツールスの飛び道具、
    ディレイについて話ますね。

    Posted by hajima @ 10:46 AM

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