• 19 Sep 2008 /  プロデュース  / 


    今回は、バンドレコーディングの話です。
    本チャンのレコーディングって、
    一体何回プレイするの、って思ったことないですか。

    実際、私も最初のレコーディングを行ったとき、
    (もちろんPONYCANYONでディレクター見習いとして
    先輩のレコーディングに立ち会った、ずっと昔の話です)
    あまりの速さに驚いたことがあります。

    まず、音決めに1時間はかけます。

    その場で指示するのはディレクターではなくて、
    エンジニアで、彼が調整卓の前に立って
    「次はドラム」とか「次はベースさんお願いします」とか、
    そんな調子で音を決めている状態が
    長く続くのです。

    こんなに時間をかけるのか。
    レコードの音のよさは、こうした調整の時間に
    あるのかと感心しました。

    そして、音出し。
    ミュージシャンたちはその場で配られた
    譜面で演奏をはじめます。
    その場で配られるというところがポイントです。
    彼らは事前に譜面を見て
    勉強してくるわけではないのです。
    すべてがその場、その場の対処となります。

    音が出ます。
    ちなみに、指揮者はいません。
    ドラム、ベース、ギター、キーボードという
    4人編成であることが多くて、
    指揮者なんかいらないというのが現場の雰囲気でした。

    音が出ると、驚きます。
    最初の演奏ですでに完成の域に達しているからです。
    学生バンドあがりの私には、
    この初見(しょけん/はじめて譜面を見て演奏すること)
    で演奏するという能力に舌を巻いた記憶があります。
    やはりスタジオミュージシャンってすごいんです。
    「それじゃ、一度、まわしてみましょう」
    とエンジニアが言います。
    これはレコーディングしてみようという合図です。

    何をまわすって、テープかHD(ハードディスク、今ならプロツールスが主ですね。スタジオにもプロツールスは99%入り込んでいます。だからみなさんがDTMを勉強するなら、プロツールスからはじめるというのがいいでしょう)
    よほどのことがないと、この段階で、
    演奏は完璧という感じになります。

    今レコーディングした音をみんなで聴きます。
    すると、各プレイヤーに改善点を見つけるらしく、
    再度レコーディングということに。
    私としては、この段階で満足ということが多いので、
    プレイヤーの方々の音楽に対する聴く耳の鋭さに、
    何度も驚いた経験があります。

    3回目のレコーディング。
    それをみんなで聞いて、手直しをするミュージシャンが
    いれば、そこでやります。
    もしプロデューサーやディレクターが
    何か問題があると感じたときのみ、再度レコーディング。
    それで終了ということになります。

    音決めに1時間。実際のレコーディングに
    1時間というところでしょうか。

    これも優秀なミュージシャンが集まってできる
    作業だと思いませんか?

    次回は、録音機材について書いてみましょう。
    お楽しみに。

  • 17 Sep 2008 /  喉のケア  / 

    今回は煙草の話。
    「煙草をやめたほうがいいですか?」
    という質問をよくされます。
    新しい生徒さんの入会や、セミナーを行うと、
    毎回のようにされるのがこの質問です。
    よっぽど煙草をやめたくないのでしょう。
    あなたが歌い続けるつもりなら、
    煙草は声帯によくありません。

    煙草の煙が声帯から水分を奪います。

    「最近軽い煙草に変えたので、
    ちょっと楽になりました」
    なんて話すボーカリストがいますが、
    それは気休め。

    煙草は強さではなくて、
    声帯から水分を奪う煙の作用です。
    ライトにしようがハッカにしようが、
    関係ありません。

    よく酒場で深夜まで働く女性で、
    声が一オクターブも低くなって、
    ガラガラした声の方を
    見たことがありませんか?

    あれは夜中まで煙草をすって、
    アルコールを取った結果です。

    声帯に悪い三大要素は、
    煙草、アルコール、夜更かし。

    第一煙草にはガンになる可能性があるし、
    伏流煙がガンを誘発するということも
    証明されているので、
    吸ってる人のそばにいかないことも
    心がけましょう。

  • 16 Sep 2008 /  喉のケア  / 

    「ボーカリストが食べてはいけない食べ物って
    ありますか」という質問を受けました。

    インディーからあがってメジャーで
    ファーストシングルを発売するアーティストさんで、
    ずっと路上でがんばってきてデビューのチャンスを
    つかんだ青年です。

    レコーディングやライブの前に
    ポテトチップスとか煎餅とか、
    塩気の強い食べ物はやめましょう。

    レコーディングやライブの前に
    ファーストフードの店によって
    腹ごしらえというのは、
    ボーカリストとしては
    慎まなければならない行動。

    上記のような塩気の強い食べ物は、
    体から水分を奪い、
    声帯が乾きやすくなります。

    同様に粘液が多い食べ物は
    粘液が声帯にくっついて、
    声の質を低下させます。

    ミルクやアイスクリームなど
    乳製品など避けましょう。

    どうしてもジャンクフードを
    食べなければいけない場合でも、
    歌う直前は避けるべきです。

    それじゃあ、何を食べればよいって?
    歌う前に胃にものを入れるのは考え物。
    横隔膜の上下運動に負担がかかります。
    水やハーブティーなどで、
    声帯の調子を整えるようにしてください。

  • 13 Sep 2008 /  プロデュース  / 

    さて、今回は、仮歌(かりうた)のお話。
    仮歌って、何?
    そう思った人も多いと思います。
    これはスタジオ用語で、レコーディングの際、
    いつもアーティストがスタジオに立ち会える
    わけではないので、アーティストの代わりに歌を
    歌ってもらう人の仕事を指します。

    最初はアーティストがいない場合、
    アーティスト抜きでレコーディングしていたのです。
    しかし大抵の場合、レコーディングに来た
    ミュージシャンたちもその歌を聴くのが
    はじめてなわけなので、
    一体自分たちがどんな伴奏をしたらいいのかわからない。

    それに決めなくてはならないテンポの問題など、
    歌があったほうがわかりやすいので、
    仮歌という職業ができたというわけです。

    大抵はコーラス担当のスタジオミュージシャンが
    仮歌を歌ってくれます。

    ところがこの仮歌を聴いて
    アイドル歌手などは歌を覚えるので、
    仮歌の良し悪しで作品のクオリティが決まってしまう
    現実が出てきました。

    それで、制作側も仮歌の人を厳選するようになり、
    魅力的な歌を歌うボーカリストが
    仮歌を歌うようになったのです。

    ですから、仮歌はレコーディングのセッションで
    もっとも重要な役割になりました。

    一時、デビュー前の久保田利伸さんに
    仮歌をお願いしたり、AMAZONズの吉川智子さんに
    お願いしたり、都志見隆志さんにお願いしたり、
    仮歌の人選では、相当時間と手間をかけました。

    各アーティスト、各アーティスト、
    仮歌では相当手間をかけていると思われます。

    特にジャニーズのアーティストは
    慎重な人選があるはずです。

    例えばSUMAPが歌ってヒットした
    「世界でひとつだけの花」の歌い方、
    曲を提供した槙原さんに似ていると思いませんか?

    あの曲の仮歌はきっと槙原さんが
    歌っていると思いますが、これは制作の鎌田さんに
    確認していないので、
    本当のところはわかりません。

    翼くんのレコーディングの仮歌はもちろん、私が行いました。
    仕上がりがたのしみですね。

    さて次回は、リズムセクションのレコーディングに
    ついてお話します。

  • 10 Sep 2008 /  サウンド分析  / 

    さて、ホアンくんの歌声に注意してください。
    全体にさわやかなトラックの作りで、
    UKのNIYOを思わせますが、
    実際にホアンくんがしたかったことは、
    NIYOとはまったく違います。

    声を聞いてみてください。
    何か変だと思いませんか。
    サウンドの中の声を聴くとわからないのですが、
    声だけに集中してください。
    声の周辺に声のようなものがまとわりついて、
    その周辺にエコーのようなものがまとわりついて、
    でも、何となく普通のエコーじゃないし、
    これって何?と思う人がいるはずです。

    そう聴けた人、耳が良いです。

    これは、オートチューンというエフェクターが
    かかっているからできる効果です。

    オートチューンって何?

    オートチューンはある意味、DTM(デスクトップ・レコーディングの略)の秘密兵器といってもいいでしょう。
    音程を変化させるソフトです。

    ボーカルなどオーディオ情報をレコーディングしたあと、
    音程が悪いとします。
    昔なら、そこをボーカリストが何度も歌って直して
    商品にしました。
    今はこのオートチューンの出番です。

    ボーカルの気になる場所を選んでちょっと音程を上げる、
    なんて朝飯前の作業です。
    あまり上げすぎると露骨に声を直している
    不自然さが出るので、自然に声の調性をするエンジニア
    (これはスタジオではエンジニアの仕事になっています)
    なんていたりして。
    そんな技術が大人気になったりしたこともあります。

    今はほとんどのエンジニアかプロデューサーが
    この作業をあたりまえのように出来るので、
    CD製品の音程は昔より格段に向上しました。
    最近のレコーディングにはほとんど使われているソフトがこのオートチューンです。

    ホアンくんはこの機材を
    もっと積極的に使いました。
    自分の声にオートチューンを積極的にかけることで、
    ある種の人間くささを消して、
    ロボットが歌っているように加工したというわけです。

    この方式で成功したのが、
    今をときめく日本のテクノユニット・パヒューム。
    あの三人娘はこのソフトを積極的に使って
    ヒット作品を作りだしました。
    同じことをホアンくんは考えたのですね。

    NIYOと違うと最初に書いたのは、
    NIYOは人間臭さを売っているのに対して、
    ホアンくんはロボット臭さを売っているということです。
    体臭のないバラード、それがホアンくんの正体です。
    ホアンくんというのは、UKのパヒュームだったのですね。