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私がはじめてプロツールスという
録音機材が出たと知ったのは、
今から10年ほど前のことでした。
それまで、スタジオといえば
sonyの3324か3348というテープレコーダーに、
ニーブかSSLの調整卓という組み合わせが
最高とされていました。
価格にするとsonyが3-4000万円。
ニーブが6500万円といったところでしょうか。
スタジオをはじめようとした場合、
約1億を用意するのが基準だったわけです。
もちろんもうすこし廉価に作られた
スタジオもありました。
録音機材はsonyの3324の中古とか、
ニーブは高いのでタスカムの24チャンネルとか、
そういった機材を工夫しながら
良い音を録ろうというスタジオもありました。
ただ、あまりにもsonyとSSLの
組み合わせが世界標準というイメージであったせいで、
メジャーのレコード会社の制作マンたち、
つまりはディレクターたちは
SONY-SSLという組み合わせのスタジオで
仕事をすることが当然という
風潮にあったように思えます。
そんな中、アレンジャーの船山基紀さんが、
「プロツール、使ってみたことある?」と
わたしに投げかけた瞬間を忘れません。
「それ、何ですか?」
はじめて聞く「プロツール」という単語に、
目を白黒させていると、
「世の中変るよ。コンピュータベースの録音機材で、
全部ソフトで動く仕組み。いろんなことができるんだけど、
例えば歌をレコーディングするでしょう。
その音程を直すオートチューンという
ソフトが入っている。それを使うと、
音程をガンガン直せる。
羽島君、ボーカルレコーディングに何時間使っている?」
「そうですね、6時間を3回くらい使ってますかね」
これはオーバーに言っているわけではなくて、
当時のスタンダードな時間割りです。
「1時間4万のスタジオとして72万。
それがたった3時間のスタジオ1回でOK。
その後、3時間使って音程補正をすると出来上がり。
その上、プロツールのスタジオは1時間1万5千円也。
つまり9万円ということになる」
私は船山さんに言われる通り、
プロツールの入っているスタジオを予約し、
そこでボーカルレコーディングをしました。
スタジオの価格が通常のスタジオの半額で、
ボーカル補正のできる便利なソフト付きというのに、
かなり興味を引かれたのです。
実際、プロツールを前にして、
ボーカルをレコーディングしたあと、
アシスタントエンジニアがボーカル補正をすると、
ボーカルはみるみるうちに正しい音程に変り、
今まで使っていたスタジオレコーディングの時間は
何だったのだろうと、逆に驚いたものです。
プロツールスの驚きは他にもありました。
次回は「切り貼り」について書きますね。
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適切な呼吸は歌だけじゃなく
健康の面においても重要です。
呼吸をするということは
胸の周りの筋肉と横隔膜を使用して胸郭を広げ、
肺の下部を広げ、肺の下部まで
空気を入れることを言います。
適切な呼吸をしていれば、
おなかが息を吸うたびに
広がったりちぢんだりします。
これこそが深い呼吸です。
浅い息というのは、
胸が上がったり下がったりするけれど、
おなかはまったく動かない状態を言います。
適切な呼吸をするテクニックは簡単です。
ただし、筋肉の記憶に焼き付けるには、
繰り返し練習する必要があります。
・
・ 段取りを順を追って説明しましょう。
・
まず、肩幅に足をひろげて深い息をします
自分の胸郭が広がるのを感じてください
あまりに体を緊張させて、
腰に緊張を感じるようではだめです。
肩をあげたりしちゃだめです。
肺に空気をいれすぎるのもだめです。
息を吐いてください。
しかし、肋間筋肉を使って胸郭は、
広げた状態にしてくさい。
胸郭を広げた状態を保ちつつ、
またもうひとつ深い息をして、
おなかも外に広げます。
息を吐くが、胸郭は広げた状態を保ちます。
上記の息を吸ったり吐いたりする
プロセスを繰り返してください。
・ そして、おなか吐く呼吸ごとに広げたり
しめたりしてください。
以上、歌うための正しい呼吸の仕方でした。
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横隔膜はドラムのようなものです。
タイトじゃないドラムは響きが悪いから、
胸骨の周辺の筋肉をリラックスさせることによって、
胸郭が広がります。
そしてドラムでいえば、しまった状態になるのです。
個人的な経験でも、
胸がよく広がるようになったほうが、
声が締まってよくなりました。
一日中髪の毛を切る仕事をする生徒について
知人のボーカルトレーナーは、
「この仕事をすると常に腕を
上にあげていかなければならないので、
背筋が強くなる。それによって胸郭を広げるので、
筋肉をコントロールしやくなる」と
賞賛していました。
腕立て伏せと背筋をたくさんやりなさい。
あなたの胸郭は広がり、
締まったドラムのような声になります。
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今週はadeleの使っているもうひとつの
浮遊感の秘密について書こうと思っていたら、
前回書いた変拍子について、
もっと知りたいという問い合わせが殺到したので、
そのことについて書きます。
変拍子って一体何?という質問は、
確かに正当なものだと思います。
あまり聞いたことのない単語に違いありません。
変拍子とは、ほとんどのポップスが
4/4拍子で演奏されているのに対して、
4/4拍子でない作品に対して使われる
ポップス用語です。
よく言われるのが、
ジャズのブルーベック・カルテットがヒットさせた
5/4拍子の名曲「take 5」はそのタイトル通り、
5/4拍子で作られていて、
これがすばらしい効果を挙げていました。
カウントを「1.2.3.4.5」と取って、やっと次の小節にたどりつく。
結構、非生理的なリズムであります。
作曲家バート・バカラックも変拍子の使い手で、
例えば映画カジノロワイヤルのテーマソングである
「the look of love」のコーラスは
4/4と3/4が交互に使われるというこりようで、
聞く私たちを驚かせたものです。
他にバカラックの名曲には変拍子を
使っているものが多くて、
「I say a little prayer(邦題:小さな願い)」の
コーラスも4/4と3/4の交互だった記憶があります。
私の大学時代、
仕事でピアノを弾きにいったとき、
ギタリストから「こんな曲があるからやってみないか」と
譜面だけを渡され、
それがバカラックの3/8拍子と4/4拍子の
交互に出てくる作品で、演奏できずに
ステージの上で凍りついた苦い記憶がありました。
大体変拍子というのは普段、
演奏しなれないものなのでそれなりに学習が必要で、
その上、生理的な拍子のとり方から外れるから
面白いということもあり、
演奏困難なことが多いのです。
ただ、最近のジャズやポップスの中には
この変拍子を多用するアーティストを
多くみかるようになりました。
きっと4/4の持つ安定とは別なものを
人々は音楽に期待しはじめているということでしょう。
確かに「1.2.3.4」とリズムを取っているうちに
いつの間にか裏拍子を取っていたとか、
アクセントが裏返っていたとかというのは
現代社会に似ています。
絶対大丈夫だと思っていた
歴史ある会社がつぶれるとか、
絶対あがると信じていた株が、
ボロボロになるとか、
まったく昔の知識を宛てにできない
時代であると思うからです。
これからの作品作りを考えると、
変拍子の導入は、
結構面白い要素ですよ。
バカラックを聞いてみてください。
変拍子のオンパレードです。
そこに、何かのヒントがあると思います。
次回こそは、adeleの使っているもうひとつの
浮遊感の秘密について書きますね。
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アデルのチェイシング・ペイブメンツの
リズムを聞いてみてください。
1.2.3.4と4つづつカウントしてゆくと、
あれ、どこかでずれるのです。
もう一度1.2.3.4とやっても同じこと。
コーラス(サビのことです、よく使う言葉なので覚えておいてください)の
最初のShould i give upというフレーズを1として考えて、
カウントしていって、同じ盛り上がりになる
Or would it be a waste?が当然1のカウントになるべきなのに、
そうなりません。(3になります)
あれ、不思議だと思って
もう一度カウントするのですが、やはり3に。
これって途中でリズムがかわっている、
つまり、変拍子を含んだコーラスだということです。
コードの流れを見てみると、(譜面を掲載できないのがつらいです。
譜面があれば一発で説明ができるのですが)コーラスの頭から
Abmaj7 Gm7 Cm7 Fm7 Abmaj7 Gm7 G7といって、
またOr would it be a waste?のところがAbmaj7に戻っている。
たぶんFm7のところが2/4拍子になっているのでしょう。
このおかしな形がコーラスの後半も続きます。
最初にこの曲を聞いたときに感じた浮遊感というのは、
この変拍子にあるのですね。
一曲のコーラスに2度も2/4が出てきて、
聞く人間のリズムを狂わすのです。
その誤差がこの曲を刺激的に見せています。
この変拍子の使用は70年代にスタイリスッティックスをプ
ロデュースしていたトム・ベルの専売特許でした。
スタイリスティックスは70年代アメリカで
ファルセットを使ったハーモニーとロマンチックな曲想で
スターになったブラックのコーラスグループです。
彼らの歌う楽曲にはこの変拍子が含まれていて、
通常の4/4とは違う効果を見いだしていました。
私の好きなバート・バカラックも多くの曲で
この変拍子を使用して成功をおさめてきました。
日本で変拍子を使っているのは、
椎名林檎さんでしょうか。
まだまだJpopのテクニックとしては、
なじみないものですが、UKの音楽にはこの変拍子が多く
使われはじめているので、これからの作家のみなさん、
変拍子に挑戦してみたらどうでしょうか。
次回はadeleの使っているもうひとつの
浮遊感の秘密について書きますね。
追伸:一番最初に紹介させてもらったスタイリスティックスはベスト盤です。「ゴーリィ・ワウ」は変拍子が自然の形で演奏されていてgoodですよ。
