• 31 Mar 2009 /  プロデュース  / 

    そういえば最近、レコード会社の
    ディレクターという言い方、しなくなりましたね。
    ディレクターではなくてA&R。
    プロデューサーはそのままプロデューサーですが、
    何とか部長と組織での役職名で言うことが多くなりました。

    昔は各社に名物ディレクターなんていう人たちがいて、
    彼ら独特の方式や人脈でヒットを作っているという
    雰囲気だったのです。

    ソニーの酒井さん、
    ビクターの飯田さん、
    キャニオンの渡辺さんなんて方々は
    ヒットメーカーで、
    大きなアーティストを複数抱えて
    ヒットを出していた70-80年代の話です。

    彼らは自分たちの人脈で作家を集めてレコーディングし、
    歌手にどの楽曲をどう歌ったらヒットするか、
    などという戦略の要でありました。

    今は、ちょっと様子が変わっているようです。
    A&Rが制作にかかわるのは同じですが、
    実際にスタジオに行くと作業しているのは
    外部プロデューサーという人たち。

    最近の目立ったプロデューサーをちょっと羅列してみると、
    椎名林檎さんとやっている亀田誠治さん。
    彼は2007年第49回日本レコード大賞で、
    「哀歌 (エレジー) 」平井堅、「サクラ色」アンジェラ・アキなど
    数多くの編曲の功労により編曲賞を受賞しました。

    チャットモンチーや9mm Parabellumを
    プロデュースしているのは、いしわたり淳治さん。
    元SUPERCARのギタリストです。

    去年Perfumeのブレイクで名が知られたのは
    中田ヤスタカさん。
    鈴木亜美、リア・ディゾン、Meg、Perfumeなど、
    数々の女性アーティストへの楽曲提供しています。
    彼はゼロ年代半ば、彗星のごとく現れたこしじまとしことのユニット、
    capsuleとしてデビュー。
    「渋谷系」直系のサウンドで、注目を集めていました。

    というように、彼らはミュージシャンです。

    メーカーのディレクター主導型から
    外部ディレクター主導型に現場は変化しているようです。
    次回はそんな変化の原因をさぐってみましょう。





  • 28 Mar 2009 /  プロデュース  / 

    私のところの生徒のひとりから
    こんな質問を受けました。

    私の場合、レコード会社のディレクターになるのに、
    就職試験を受けました。
    今からずいぶん前のことになってしまいますが、
    それでもレコード会社は人気で、
    確か3000人受けて2人の採用だったと記憶しています。

    現在も状況は一緒で、
    レコード会社や大手プロダクション、
    テレビ局など制作部門は狭き門だと言えるでしょう。

    「どうしてもディレクターになりたいんですけれど」
    生徒さんにそう問われ、
    私の周辺で音楽制作をしている人がどんなルートで
    制作マンになったのかと思案しました。

    大抵の場合、レコード会社に入社するというルートは、
    多かれ少なかれ狭き門です。
    募集人数に対して膨大な数の希望者が殺到するので、
    選ばれるのは運次第だという印象があります。

    レコード会社に途中入社する人たちもいます。
    今思い返してみても、
    私と同じ時期に制作マンとして仕事をし、今も活躍されている
    長岡和弘さんなどが良い例なのですが、
    彼は甲斐バンドのベースを担当していたミュージシャンでした。

    すでにプロとして活躍していた人が
    横滑りして制作に入るということは結構あることで、
    これはミュージシャンとしての実績を要求されます。

    そう考えるとレコード会社には
    元何々バンドの誰それとかが多いことか。
    それこそ石を投げれば元何々バンドの誰それに当たる
    といってもいいほど、
    実績のあるミュージシャンが
    制作マンとして仕事をしています。

    考えてみれば制作の仕事は交通整理が主で、
    プロダクションの意向、
    アーティストの意向、
    もちろん自分が所属しているレコード会社の意向を組んで
    動かなければならず、
    その上、制作費と時間管理と、
    アーティスト管理などの能力が望まれるわけで、
    新卒で何もかも初めての経験のディレクターが活躍するには、
    針の穴ほどの偶然が重ならないかぎり、
    なかなか仕事にありつけないというのが現状でしょう。

    ちょっとディレクターという仕事に就くということで、
    数回書いてみようと思います。
    ご期待ください。

  • 15 Mar 2009 /  サウンド分析  / 




    今はわたしのスクールでは、発表会の準備で大忙しです。
    わたしのスクールではカラオケで発表する生徒さんと
    弾き語りをする生徒さん、
    バンドで発表する生徒さんがいるのですが、
    50人を超える生徒さんたちがバンドで歌うことになるので、
    そのアレンジをわたしがすべてすることになります。

    楽曲のほとんどがオリジナルか今のヒット曲なので、
    生徒さんたちが持参する曲を分解しなければならず、
    結局は今の傾向を自然に発見することになるのです。

    この「傾向」はバンド曲が多ければバンドブームだろうし、
    R&Bの楽曲が増えればR&Bブームだろうし、
    ソロボーカルが多ければソロボーカルブームだろうと
    判断するようなシンプルなものですが、
    音楽プロデューサーにとって、
    大変貴重な参考資料といえます。

    わたしが発見した今年の傾向は、
    メロディが多くなったということでしょうか。

    今までの楽曲はメロディの流れを
    A,B,Cと分けてゆくと、
    大抵はC(つまりはサビ)で終わることが多かったのですが、
    最近ではC(サビ)の後、
    Dメロと呼ばれるようなものが出てくることが多いようです。

    確かに昔からサビの後、
    まったく違うメロディが出てくることもありました。
    通常、それをDメロとか大サビとか呼ぶのですが、
    それは1曲に1度しか出ない場合です。

    今日、参考曲とするJUJUの
    「やさしさで溢れるように」は、
    毎回サビが終わったあと、
    まったく違ったメロディが続きます。

    これをCの続きと呼ぶのかDメロと解釈するのかは
    解釈する人のセンスに任せますが、
    わたしはあえてDメロと名付けたいと思いました。

    というのも、これがなくてもこの曲は完結するのに、
    わざわざつけていると感じたからです。
    つまり、作家によるサービスなのですね。

    同様に、いきものがかりの楽曲の多くが
    Cメロの後にDメロをつけてくることが多いのにも驚きました。
    Aメロ、Bメロ、サビという黄金のヒット曲の構成が壊れ始め、
    プラスDメロとなりつつあるのでしょうか。

    わたしと金田くんが今年出版した
    「作曲の王道」ホームスタディーコース
    編集している最中に発見したのは、
    1960年代のヒット曲は4種類くらいのコードが
    使いまわされているのに対して、
    1999年以降のMISHIAのヒット曲の数々は
    20近いコードを
    使用しているという事実でした。

    それだけ多くの情報を聞く人たちは
    求めているということでしょう。

    今度はコードの情報だけでなく、
    曲の構成もプラスDメロとなって
    より多くの情報が曲の中に反映されるように
    なってきたのだと思います。

    機会があったら是非聞いてみてください。

  • 07 Mar 2009 /  サウンド分析  / 



    MTVでもうひとつ気になる楽曲を書きます。
    LISA/明日晴れるかな
    これって、何?って感じでした。
    というのも、メロは完全なJ-popメロなのに、
    外人で魅力的なボーカリストが歌っています。

    それもジャズのピアノトリオで。

    歌いまわしにジャズ臭はあまりありませんが、
    編成がトリオなのでMTVの他のトラックと比べると
    とても目立つのです。

    最近、音楽をデザインするアーティストたちが増えていて、
    とりあえず新曲をレコーディングするために
    キーボードとドラムとベースとギターのミュージシャンを
    スタジオに入れておいて、
    何がきてもokみたいなレコーディングは、
    少なくなりました。

    その楽曲を完成させるのに必要な楽器は何なのか。
    本当にドラムがいるのか。
    本当に低音はベースでいいのか。
    そんなデザイナー感覚のレコーディングをする
    アーティストが増えたことは、
    進歩だと思います。

    先日、私の書いたBLOGでも、
    Aメロにカウンターメロを入れていた二組の
    アーティストを紹介しましたが、
    今まで当然だったことが、当然ではなくなりました。
    音楽は確実に進歩しているのです。

    その中で、外人美形女性シンガーの歌うJ-pop。
    カバー曲を僕は誰の作品なのか知りませんでした。
    ただ、トラックの出来がよいのと、
    ボーカルの魅力にやられました。
    美人は得ですが、こんなふうに歌う美人は、
    努力があります。

    調べてみると、LISAでした。
    スウェーディッシュ・ジャズシンガーで、
    一度、原宿のホールで本物を聞いたことがあります。
    その時の彼女も魅力的で、その上、
    何かカマシテやろうという根性があって、
    良かったのです。
    彼女の歌ったビートルズのスタンダードは
    ものすごくやられた記憶があります。

    そのLISAが桑田佳祐の「明日晴れるかな」を
    カバーして、その上、桑田カバー集を出してしまったということです。
    それも、デビッド・フォスターなど世界レベルの
    プロデューサーを迎えて。

    CDは発売されたばかりでまだ聞いていませんが、
    まずはYOUTUBEあたりで、LISAのPVを見ることを
    薦めます。


  • 03 Mar 2009 /  サウンド分析  / 


    中島さんのGAME聞きました。
    聞いたというよりは、またMTVにてチェックしたのですが、
    これがよかった。

    この作品で目新しいところは、Aメロにあります。
    Aメロのバックに、カウンターメロディがついています。
    ちょっと歪んだギターですね。それがボーカルに絡んでいる。
    これって、意外となかったテクニックです。
    というのも、楽曲のアレンジをする時に、
    Aメロ、BメロCメロ(通常はサビですね)
    と変化をつける場合、Aメロに限っては
    何もしないのが定番だったのですね。

    そりゃそうなわけで、AとBとの差をつけるには、
    Aメロはドラムとキーボードとベースとギターと
    いうふうにリズムを刻んでおいて、
    Bメロにシンセのパッドを加える。
    Cメロにストリングスとかブラスを入れれば、
    次第に楽器が増えていっているという印象になるので、
    聞きやすいのですね。

    もちろん新しいことを好む実験的なバンドなど、
    Aメロにカウンターメロディを入れることなども試されていたのですが、
    実際にカウンターメロディを入れてみると、
    歌の邪魔になることが多かったわけです。
    で、実績のあるアレンジャーの方々はAメロは
    基本的なリズム隊だけにしておいて、
    Bメロから楽器を増やしていくということをしていた。

    ところが中島さんのGAMEのAメロには
    目立つギターのカウンターメロディが入っている。
    それがこの少々イカれたサウンドに味つけが
    されているわけですね。
    昔できなくて今、どうしてこれができるかというと、
    ひとえにミックスの技術があがったことが
    理由だと思います。

    中島さんの楽曲のミックスはボーカルがどんと前にあって、
    それを基本リズムで取り巻いているのですが、
    ボーカルとボーカル周辺の
    EQとコンプが正確であるために、
    ギターが少々遊んでいても、
    ボーカルのメッセージが聞き取れるように
    設計されているのですね。

    これを普通の宅録家たちが再現しようとしたら、
    きっとギターとボーカルが同じ位置にあるので、
    ボーカルが聞こえ辛いか、ギターを下げるかしなければ
    なりたたないということになるでしょう。

    ちなみにこの楽曲、構成がABCDメロが1コーラスとなっていて、
    通常よりメロディが多く複雑なつくりです。
    その後、たった一回でてくるEメロが追加されてあって、
    覚えやすい楽曲と一聴して思うのですが、実際は複雑なつくりになっています。
    興味のある方は是非聞いてみてください。