ではA&Rの仕事を説明しましょう。
A&Rはサラリーマンです。
どこどこレコードやどこどこエンターテイメント
という音楽系の会社に所属しています。
毎日出社し、タイムカードを押して、
上役の意向に対して基本的には絶対です。
明日は営業として仙台へいってほしいと言われれば、
仙台に行く必要があります。
そこが音楽プロデューサーと
決定的に違うところでしょう。
レコード会社のA&Rは曲を書きません。
よい曲を集めることが仕事の最初になります。
A&Rの重要な仕事のうち、一番重要なのが、
そのアーティストをどう売りだすのか、
方針を打ち出すことです。
例えば、JUJUの「やさしさで溢れるように」
(2009年2月11日)なら、それまでニューヨーク在住、
R&Bシンガーというイメージが強かったのに、
ロックテイストにもっていこうと決めたことです。
スタッフに亀田誠治を起用した瞬間が、
A&Rのもっとも重要な仕事となります。
ロックの亀田さんを起用しての「やさしさで溢れるように」は
A&Rが優秀と評価された仕事になったはずです。
レコーディングに立ち会うことも多くあります。
立ち会う場合、きちんと進行しているか、とか、
金銭的、時間的な予定通り動いているかという
チェックをします。
金銭的とか時間的にオーバーしそうになると、
音楽プロデューサーに対してチェックをいれます。
レコーディングは生ものなので、
こちらの思惑通り進まないことが多いです。
その場合、宣伝と営業と相談をして、
発売日の調整などもします。
どうです? 音楽プロデューサーとは
ずいぶん違う作業をすると思いませんか。
次回は、A&Rの重要な仕事のうちのひとつ、
アートワークについて話します。
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実際に音楽プロデューサーと
A&Rの仕事は別ものです。
まず音楽プロデューサーの仕事を
列挙してみましょう。
レコード会社のA&Rの要請で曲を書きます。
書いた作品がレコード会社やプロダクションの
担当者とアーティストと含めて評価されれば、
作曲家としてのあなたの仕事は終わりです。
あなたが曲を書かない場合もあります。
誰かが書いた曲を編曲する仕事です。
その場合、まず、
アーティストとの打ち合わせが最初です。
もちろんA&Rを含めての打ち合わせとなります。
どんな方向のアレンジにしたらいいのか。
あなたの好みよりもアーティストの考え、
担当A&Rの考えが優先です。
そういえばJUJUの「やさしさで溢れるように」
(2009年2月11日)は興味深い作品です。
JUJUといえばニューヨーク在住、
R&Bシンガーというイメージが強かったのに、
この作品はどうしたわけか、
ロックテイストに仕上がっています。
メロディだけ分解して聞いてください。
今までのR&Bテイストのアレンジで十分なりたつでしょう。
スタッフに亀田誠治が入っています。
作曲にも参加していますね。
亀田さんはR&Bも編曲するけれど、
基本はロックでしょう。
ロックの亀田さんを起用しての「やさしさで溢れるように」です。
たぶん制作現場では、
今までのJUJUにはない一皮むけたJUJUをどう作るか
という検討がなされ、それではR&Bでアレンジしよう
と思っていた楽曲を、ロックテイストにしようと
誰かが提案したのでしょう。
これはあくまでも、私の勝手な想像ですよ。
こうしたことを中核で戦略を練るのが
A&Rと音楽プロデューサーです。
音楽プロデューサーはそうした戦略を理解して、
実際のレコーディングを開始します。
あらかじめ押さえられたスタジオに行って
トラック(カラオケ)制作をします。
リズムを打ちこみ、コードをつけて、演奏してゆきます。
必要ならギタリストを呼んで、ソロをお願いします。
最近はコーラスをアーティスト自身がすることが多いので、
そうした譜面の制作をします。
わたしのところに音楽プロデューサー志望の
方々から、譜面は書けたほうが
いいですかという質問が多くきます。
書けたほうがいいにきまっています。
特に音楽プロデューサーは。
他人と仕事をすることが多いので、
言葉で音を指定するのは時間がかかりすぎるのです。
譜面が書けないで、音楽プロデューサーを目指している方。
がんばりましょう。
アーティストの歌をレコーディングします。
これはA&Rにゆだねられることが多いようです。
そのあと、ミックスダウンをします。
これはCD制作では重要な過程で、
見過ごされがちな部分ですが、
実際はこの技量がヒットするしないで大きな部分をしめます。
この作業は専門的なので、
プロデューサーが自分ですることもありますが、
専門のエンジニアにゆだねられることが多いです。
こうした過程の全部において、指揮し、
手をくだすのが、音楽プロデューサーです。
音楽を知っていなければなりたたない商売
だということがわかるはずです。
さて、次回はA&Rの仕事をざっと説明しますね。
お楽しみに。
*上の写真はJUJUの「やさしさで溢れるように」
制作的に良くできた作品です。一聴を薦めます。 -
外部プロデューサーに主流がシフトしているのは、
ひとつの傾向です。
しかし、ジャニーズなど、内部のプロデューサーが
音楽をハンドリングしているという会社もあります。
ある完成モデルを描きながら、
その完成モデルに近い作品を、外部の作家から集める
いう制作方針です。
実績を出しているところは、
自分のもっている成功モデルを追い求める
ということです。
ジャニーズに関していえば、
時代がHiphopに傾こうと
バンドブームに行こうと、
その根っこにあるメロディは歌謡曲で、
覚えやすいメロディとキャッチーな詞がポイントだと
シンプルに考えています。
年に数回、わたしはジャニーズの
コンサートを見させてもらいますが、
ジャニーズが楽曲制作に求めるのは、ヒット曲です。
タレントパワーはもともとあるので、
それを増幅するヒット曲を要求します。
つまり、発売する前からこのアーティストは
これくらい売れると数字が読めている。
Aというアーティストは5万枚。Bは4万枚。Cが3万枚。
ならAとBとCをグループにすれば12万枚は行くだろう
という計算があります。
だから、新しく作られた曲は、
12万枚が最低ラインで、すくなくとも12万枚以上売れないと、
制作は評価されないのです。
ジャニーズ以外のレコード会社が新人を扱う場合は、
この基礎票がありません。
才能はあるんだけど、良い曲なんだけど、
どれくらい最初にCDを印刷したらいいか見当がつかない。
これでは商売にもなったものではないので、
最近はインディーズデビューが
アーティストの価値を決める大きなポイントになっています。
インディーズでデビューしたとき、
1万枚売れたとか、2万枚売れたとか、
そうしたデーターになるのです。
インディーズで1万売れたのなら、
メジャーがそれに1億だせば10万になるのだなというような
計算を、メジャーのA&Rのひとたちはするでしょう。
インディーで1000枚売れたんですけどと言えば、
「もうすこしがんばってからこちらへ来てよ」
というような防御壁にもなるわけです。
この壁の厚さがイコール、A&Rです。
例えば2000枚しかいっていないけれど、
どこのプロデューサーと組ませれば
20000枚行く可能性があるとか、
1万超えているけれど、
どうもウチの会社の得意分野ではないからやめておくとか。
A&Rはバイヤー的な役割になっているわけです。
時代の流れを読み、商売を考え、投資する。
バイヤーですから成功すれば天国ですが、
失敗すると次の人事異動で別の部署に配置されることになります。
実際の話、レコード会社の中で正社員でA&Rをしている人は
極端にすくなく、ほとんどの人が契約社員として
働いているということも、2000年代の特徴でしょう。
それだけ博打の要素が強いので、
社員として抱えておくよりも、その時代、その時代、
勝負勘のある人を歩合制で押さえておくのが
2000年代のレコードビジネスだということでしょうか。
次回は、音楽プロデューサーの現状について話しましょう。
